新価値創造へ 組織・システム刷新

DXはあらゆる業種の省力化、大規模化に資するだけでなく、環境変化への対応を通じてビジネスの持続的な発展にも大いに貢献する。IoT機器やAIなどをつないだ「通信イノベーション」、店舗とネットが融合する「オムニチャネル」など6つのキーワードに分類して、DXにより創出される新市場や事業再構築・活性化のイメージを探った。 本コラムは2020年12月15日日本経済新聞朝刊掲載 広告企画「DXの地平」を採録したものです。

目次

つなぐ・極める・切り開く

課題解決、新市場生む

新市場生む

少子高齢化の中、労働力不足はあらゆる業界が頭を悩ます問題だ。大手建設機械メーカーのコマツは4月、3D測量ができるドローンなど4つのIoTデバイスと8つのアプリケーションを導入した「スマートコンストラクション」の国内導入を開始した。

同システムでは「調査・測量」「施工計画」「施工・施工管理」「検査」というプロセスごとにバラバラではなく、施工の全工程をデジタルでつなぐ「横のデジタル化」を進める。作業現場と事務所をウェブ会議ツールで結んで施工の進捗状況など情報を共有し、毎日のデータに基づいてPDCAサイクルを回し施工を最適化しながら、今後について正確に予測していく。さらに、情報を蓄積すれば事故リスク検証にも活用できる。

また、IoT、AI技術を使って製品を出荷から廃棄まで生涯にわたりフォロー。中古車として製品を使用する第2、第3の所有者へのエンゲージメントを強化して、アフターマーケットにおける新たなビジネスモデルを構築する「号機管理プロジェクト」も展開している。

日清食品ホールディングスは関西工場(滋賀県栗東市)を「次世代型スマートファクトリー」と位置付けた。700以上の品質管理カメラを配置して全製造工程をモニタリング。「不良品発生率は100万食で1つ以下、宇宙ロケット打ち上げの安全基準よりも高い品質」を目指す。

誰でも使え、確度も高く

業務改革

熟練者の経験や勘に頼ったり、コストをかけたモニター調査を実施したりしていた開発や営業活動が、機械学習やディープラーニングによって誰でも使える確度の高い活動へと変わってきている。

飲料メーカーのアサヒグループホールディングスは消費者のトレンド情報や素材を機械学習させ、主観に左右されない商品パッケージデザイン案を生成する「AIクリエーターシステム」と、VR(仮想現実)を利用して缶やペットボトルなどの商品の3Dモデルを生成し、仮想商品棚で表現する「VR商品パッケージ開発支援システム」の2つのシステムを連動させて、開発工程を高速化したり、多様化するトレンドに応じた柔軟な開発をしたりするモノづくりを始めた。

三井住友海上火災保険では顧客情報を収集・分析・活用する機能を備えた「MS1 Brain」を全国の代理店に導入。顧客のニーズやリスクの変化を察知して、補償内容の見直しや新保険商品などを最適なタイミングで提案する新たなスタイルの営業を始めた。

無人店舗展開の切り札に

キャッシュレス

DXのけん引役の一つがスマートフォンなどを利用するキャッシュレス決済。新型コロナウイルスの感染拡大で、非接触で精算できるキャッシュレス決済が大きな関心を集めている。

ミニストップは、キャッシュレス決済専用の完全無人店舗「ミニストップポケット」を始めた。3〜10平方メートルのスペースに菓子や飲料など2〜3の商品棚とセルフレジ機器を設置する。

店員は配置せず、客が商品のバーコードを自分でスキャンして会計する完全セルフ方式を採用。支払いはICカードや2次元コードなど電子決済のみだ。オフィスなど限られたスペースへの出店を加速する。

流通業界は人手不足に悩む一方、インターネット通販の台頭で、価格引き下げなどサービス競争は一段と激しさを増す。低コストで出店できる無人店舗システムの普及に欠かせないキャッシュレス決済の成長余地は大きい。

キャッシュレス決済が当たり前になる近未来のスーパーにはレジもなくなる。買い物客は決済可能なアプリが入ったスマホを入り口でかざして入店。購入した商品の金額は電子タグで自動的に積算。アプリを通じて自分の決済口座から代金が引き落とされる。長いレジ待ちの行列とは無縁で、気分よく買い物を終了できる。DXが開くストレスフリーの買い物シーンが実現する日はすぐそこまで来ている。

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