日本発「やさしい」DX実現へ

目次

社会のためのデータ活用 国土全体を通信可能領域に

関口どんな領域にフォーカスしてDXを進めるべきでしょう。 村井新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で、人の命に関わる領域や非常時の対策などに注目が集まっています。医療・健康、教育、業務改革といった領域では、非常時に備える大胆なDXへの理解が進んでいると感じます。 関口個人のデータをどうやって公共のために使えるかという課題に進展がありそうですね。データ活用や共有を促すには何が重要ですか。 村井人の命を救う、健康のためといった目的を明確に打ち出し、仕組みを理解してもらうことだと思います。NTTドコモが「モバイル空間統計」をユーザーに紹介するとき、個人が特定できない手法だという説明が必ずあります。コロナ禍と戦う社会情勢の中で、社会的な目的のためにデータを活用することへの反発の声は聞こえてきません。匿名加工情報を活用したビックデータが社会貢献につながる。多くの人がそれを実感したのです。 関口規制も変わっていきますし企業側の取り組み意識、ユーザーの理解も変わるということですね。 村井一方、あまり一つの領域にフォーカスしすぎずに、領域横断的な広い視野を持つことも重要です。例えば災害時の避難所では通信環境が不自由で不満の声が多くありますが、そのためだけの整備を進めるのは無理があります。また避難所として使われることが多い学校の体育館は、教育の領域として考えれば通信環境に多くの予算は使えない。しかし地方の教育の充実という視点も加わると、一気に面白いDXになります。映像を見ながら体育の授業をしたり、複数の体育館をつないで様々なレッスンを配信したりと地域独自の魅力的な発想を実現しながら、非常時の快適さも確保できます。 関口表の目的だけでなく、派生的な効果も大事ですね。DXを促す技術として何に注目していますか。 村井光ファイバー網とLTEは人が住む場所をほぼ100%カバーしました。次は国土全体のカバーです。今後5年で低軌道衛星による常時通信が実現するかもしれません。災害時のドローン活用や自動運転車両の操作などに有効ですが、それ以上に海上や森林などで第1次産業向けのデータ活用に道が開けます。

「日本らしさ」発揮し 世界に誇れる未来図描く

関口日本ならではの発展を期待する技術分野は。 村井モビリティー分野は、安全な移動へ向けたデータ活用などが進んでいます。国土が狭い日本では個人を対象にしたマイクロモビリティーへの精度の高いアシストなどが発展しそうですね。日本はもともとファクトリーオートメーションで精度を極めていますから、スマートフォンで微調整といったことも得意だと思います。まだ社会は追いついていないと思いますが、医療機器のネットワーク化、オンライン手術などの分野でも、世界に貢献できる技術が続々登場するでしょう。 関口高齢化が進む日本ではユーザーへの配慮も大切になります。 村井デジタルデバイドは絶対につくりたくないですね。日本のIT政策がこれまでうまくいかなかった理由の一つには「これをやったらセキュリティー設定に困る人がいるから」「取り残される人がいるから」進めないという風潮もありました。言い換えれば、日本は優しいんです。だから「リスクがあるからやらない」という不安には、データの利活用が安全なデジタル社会をつくることで応える。「社会が進みすぎて困る人がいる」という懸念には、誰も置き去りにしない優しい社会、困っている人がいたら助けてあげられる仕組みを用意することですよね。この2つはすごく大事なこと。これらをきちんと柱に据えて新たなIT基本法をつくれば、いいコンセプトができると考えています。10年の遅れを取り戻し、たとえ「周回遅れの先頭ランナー」だとしても、後続の目標になるDXを目指したいですね。 関口明確な理念を共有できると、様々な連携や協働が広がります。 村井縦割りで「ガラパゴス」の進化を遂げるより、横につなぎやすい共通基盤の上で個々の独自性を競い合う。これが必須なんです。それがプラットフォームのデザインであり、インフラのデザインです。 関口日本らしい思いを込めたDXは、世界にその存在感を示すことができそうですね。 村井インターネットは世界につながっている。テクノロジーの未来を考えるとき、世界全体を見渡していま何をすべきかを見極める視点がとても大事です。人に優しく使いやすい、そして多様な発展を自在にデザインできるデジタル社会が実現できれば、それは世界に誇れるDXになる。日本が主導的な立場で問題を解決したり、技術を推進したり、様々な貢献ができると信じています。

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DXの地平 ー岐路に立つ日本ー

本コラムは日本経済新聞掲載 広告企画「DXの地平」を採録したものです。

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